【書評】「人生の勝算」前田裕二
評価:★★★★☆
プラス点:自伝としては面白かったし、為になる言葉もあって、読んでいて飽きなかった。
マイナス点:筆者の置かれている状況が特殊だったり、常人にはできない生活を送っていたり、情熱がすごくてちょっと追いつけなかったり、といった点で共感できない部分もあった。
筆者の半生について書かれた本。帯に書かれていた、
・8才で親を亡くし路上ライブで稼いだ原体験を元にビジネスをやる新進気鋭の20代
・秋元康がホリエモンに「あなた以来の天才が現れたよ」といってホリエモンが会ってみたら本当だった
という趣旨の文章に興味を惹かれて読んでみたら、かなり引き込まれて一気に読んでしまった。
筆者が経営しているSHOWROOMについて知らなかったが、近年流行りのプラットフォームビジネスをエンタメビジネスでやろうというもの。AKB48の分析と、それに基づくSHOWROOMビジネスモデルの説明は的確で、なるほどこのビジネスモデルなら国内で完成させれば海外に持っていっても通用する可能性はあると感じられた。
筆者は超がつく仕事人間で、証券会社時代には毎日2〜3時間睡眠で朝5時に出社して、日経新聞などで情報収集して仕事をしていたとのことで、これで時間効率は本当に高かったのかな、と疑問には思ったけど、ここまでいくとすごいのは間違いないし、筆者の仕事に対する真摯な姿勢はすごい。
気に入った文言は、
・仕事で重要なのはハードスキルよりソフトスキル=思いやり。人に好かれる為には、人を好きになること。人に好かれるのはアンコントローラブルだが、人を好きになるのはコントローラブルで、人は好かれていると好きになるもの。チームメンバーを愛すること。
・人生のコンパス、根源的なモチベーションをもつ。筆者の場合は仕事に狂うこと=運命に抗うこと=世界一になること。モテたい、とか、日経新聞の一面に乗りたい、とかでもいい。
・一人の力では大したことはできないが、チームを作れば地球も動かせる。
・大きな声で挨拶をする、人の名前を覚える、といった当たり前のことを習慣にして完璧にやり続ける。
・仕事はゲームで、ゲームのルールには意外なものが混ざっている(証券会社の営業は飲み会でバカになることが大事、とか)。そのルールを認識し、そこでもポイントを取れるかどうか。
感想は、
・人を好きになることは大切。
・仕事上のキャラは、戦略的に考えなくてはならない。
・ビジネスの基本は大事。笑顔で挨拶はちゃんとしよう。
・本は一週間に1冊は読むようにしたい。
・自分のコンパスはふわっとしか定まっていないので、深堀していく必要がある。
・自分は一日7時間は寝たい。
そのほか、
南場さんから半年に一回くらいコンタクトがきた話は印象深かった。目をつけた人をエクセルで管理でもしているんだろうか。
この人になりたいかと言われたら微妙だけど、この人と仕事したら面白いんだろうな。